私の若い頃の話です。
会社には「女性がお茶くみをする」という風習が未だにあると思います。
昔ほどではないですけど。
職種によって、例えば一般事務職だったら庶務的仕事+お茶くみや来客応対なんかも含まれて採用されている場合もあるのでしょうかね。
私は今までの経験上、そのような話をされて採用されたことはありません。
かといってお茶を入れることが絶対に嫌だと言うわけでもありません。
派遣社員だった時も当然契約内容に「お茶くみ」なんて出ていませんでしたが、お客さんがいれば出していました。
大学を出て、新卒で入社した会社では、私は男性と同等にバリバリ働く総合職ではなく、一般職(事務職)であり、自分でもそちらを希望していました。
入社後配属された人事部の仕事は、つい最近までのほほんと学生をしていたところに急に新しい専門知識を詰め込むことと、かなり真面目で厳しめなH先輩の指導をマンツーマンで受けることになり、結構ハードな日々でした。
当然ですが、社会保険やら給与計算やら労働基準法やら採用やら、全く知らない世界だったので、この時が人生で一番勉強をした時期かもしれません(笑)
当時、総務と人事は同じ場所にあり、そこの部署内では3時ぐらいになるとお茶を配る女性社員が数名いました。
私は正直「いらないのでは?」と思っていました。
自分もいらないし、給茶機があって飲みたいときに自由に飲めるし、知らぬ間にお茶が机に置かれていてうっかりこぼしているオジサンもいました。
席にいなくても机に置かれていたら冷めてしまうし、飲みたいときに自分で給茶機で入れればいいのになーと思っていました。
そう思っていながらも、新入社員の私にそんなことを言えるわけがなく、毎日3時になることが憂鬱でした。
ある時、H先輩に仕事を教わっている時、お茶を入れている他の先輩の目が気になり、ソワソワして
「あの、お茶入れるの手伝って来ていいですか?」と聞くと
「そんなことしている場合じゃないでしょう!今はこっちの方が大事!」と言われてしまい・・・
「すみません・・」とそのまま仕事の話を続けることになりました。
結局そんなことが続き・・・
お茶を入れている先輩女性社員達から
「新入社員なのにお茶を入れない」という厳しい目で見られるようになってしまいました。
はっきり言われたのではなく、自分でその空気を感じただけなのですが。
比較的新しい会社であり、上司や先輩はほとんど出向者か中途採用者、いろいろな企業風土が集まって、あらたな事業を開業してノリノリで会社全体が盛り上がっている時期でした。
社員の中途入社や出向受け入れなどもじゃんじゃんあり、人事部の仕事を覚えるのに必死で、毎日残業をして、充実していながらもかなり疲弊していました。
その時期は結構つらかったです。
そんな時、いよいよ腹を立てたのであろうお茶出しをする先輩から女性だけで話し合いをしたいという提案があり、予想通り
「お茶くみについて」が議題に挙がりました。
はい、要は新入社員の私に言いたいのですよね、お茶を入れろ、と。
新人の仕事だと言いたいのはわからなくもないのですが、こちらはこちらでやろうとすれば厳しい先輩に怒られてしまい、心の底では「来客の時ならともかく、社員に対してそんなのやる必要ない」と思っていたことも事実ですが、板挟みというか、身動きできず、つらい日々だったのです。
その話し合いが始まって私は針のムシロになることを覚悟していました。
総務、人事合わせて女性は総勢20人以上はいたと思います。
その中で新入社員は私のみ・・・(T_T)
一人一人意見を言うことになり、その場で、私は言いました。
「お茶を出そうと思っても仕事の話の途中だと抜けにくくて・・・すみませんでした(涙目)」
さすがに本音の「やる必要はないのでは?」とは言えませんでしたが(笑)
仕事を教えてくれているH先輩、その場でそれを聞いて
「そっか、そうだよね、ごめんねごめんね。気づかなくてごめんね。言えなかったよね」と謝ってくれてしまいました。
厳しいけど優しい先輩なのです。彼女は本当に真面目なので、仕事優先!というタイプだっただけなのです。
ちなみにそのH先輩とは今でも交流あります。
話し合いが始まってみると、意外なことに「お茶出し反対」の人が結構な数いたのです。
某大手企業から出向してきていたバリバリの総合職のカッコいいキャリアウーマン女性が
「なんで毎日決まった時間に社員に対してお茶を出す必要があるのかな?」と言いました。
お茶出ししている先輩「それは、やってあげたい!喜んでもらいたい!という気持ちが根底にあるからです!(ドヤ顔)」
キャリアウーマン「じゃあ、他の人に強要しないで、やってあげたい、という気持ちがある人がやればよい話では?新人はやるとか決まりもないよね」
お茶出ししている先輩「・・・・しーん・・・(沈黙)」
こんな感じで終わりました。
ごもっともです。
正直、私は爽快でした。
立場上黙っていましたが、心の中では
「そうだそうだ!!」と思っていました。
まあ、そのキャリアウーマンさんは、別に新人の私を助けようとしたわけではなく、普通に自分の意見を言っただけだとは思いますが、私には女神(いや、ヒーロー?)のように見えました(笑)
やってあげたいという気持ちがあってやっているのならとても立派なことですけど、必要ないと思っている人が渋々やることでもないと思うのですよね・・・
実際、冷めたお茶を迷惑そうに捨てている人をみたこともありましたし、ありがたいと喜んでいる人もいたのでしょうけど、そういう時代でもないなぁと当時でさえ思っていた私です。
親切心は大切にしたいけれど、大事な仕事を中断してまで社員のオジサマたちにお茶を配って喜んでもらう必要性を感じなかったのです。
結局その日からお茶を配る風習は消えました。
やってあげたいと言っていた先輩もやらなくなりました。
でも、その先輩も新人の時にそうやってお茶出しすることが当たり前だと育ってきたのかもしれません。
今でも女性が当たり前にやっている企業もあるとは思いますし、好意でやっている人もいるでしょうから、一概にどっちがいいなんて言えない事なのでしょうけども。
子育てや家事なんかでも昔は女性がやって当たり前でしたが、今は結構男性もやるようになってきたと言いますよね。
でも、やっぱり会社で男性がお茶を出すというのは見たことないですし、ハッキリと「女性に淹れてもらった方が美味しい」なんて言っちゃう人もいます(笑)
私は今、自分のの部署に来客があれば、普通にお茶を入れて出しますし、下げて洗ったりもしています。
会社ではお茶出しやお弁当出しの専門の会社の方が常駐していますが、私の部署は離れていて、他にできる人もいないし特殊な場所なので仕方ないのです。
せめてお茶を出すことをお願いする時は、当たり前に思わずに「仕事中申し訳ないですけど、お客さんが来るのでお茶お願いできますか?」と言って欲しいなーなんて思ってしまいます。
ついでに言うと、飲み会などでも取り分けしてもらえるのを待ってるオジサン!
特に、前にいた上司は平気で
「デリバリーお願いしまーす」なんて言ってニヤニヤしながら取り分けてもらったり焼肉焼いてもらったりするのを待っていたのでイラッとしました(笑)
仲良かったので「自分でやってください!」とか言っちゃったりしましたけど。
たまに「自分の分は自分で取るからいいですよ、やらなくて」と言ってくれる人がいると気遣いができるステキ人だなーと思ってしまいます。
最近、とあることがあってふと昔のことを思い出してしまいました。
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