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一生のお願い

あぁ・・・
もうなんだか、呆れてるのと、自分が情けないのと、でもまだ今度こそ、と期待しちゃうのとが入り混じって私の頭の中はカオス状態でございます。

昨日の夜、イチコのバカ者が、一生をかけてのお願いをしてきました。

「明日、学校を休むのを許してほしい」

「はい?なんじゃそれ?」

即却下。体調悪いわけじゃない休みはもう無しです。当然です。

「一学期何回休んでいますか?無理です。」

イチコはいつになくかなり下手にでています。
逆ギレもガマンしている様子。

「お願い。お願い。お願い。一生のお願い。
もうこの頼みを聞いてくれたら本当に、本当に変わるから。
二度と学校休まないから。」

「はい?変わる?何度聞いたことか。無理。」

改めて却下。

「違う、今度は本当に違う。」

「え?何が違うの?前回と今回のセリフが同じなんだけどどこが違うのか区別つきませんけど。」
イヤミたらたらの母親。

「本当に!!本当に自分で決めたの!!」

「あはははは、決めた決めたって中学時代からそろそろ5年。ずっと聞いてるけど?
高1の終わりも言ってたし高2の始めにも言ってたし、夏休み前も言ってたよね~。あははははは。
ないないない。絶対にない。ありえない。」
イヤミが止まらない母親。

(涙を流しながら)
「本当に!!本当にお願い。
毎日スマホのアプリを消してもいい。
毎日帰ってきてから一生懸命勉強する。
授業もしっかり聞く。
生活態度もちゃんとする。
部屋もきれいに維持する。
守れなかったらバイト辞めるし、勝手に辞めるって電話してもいい。」

「あれあれあれあれ?ちょっと待って。
それってもう既に約束してるよねぇ??
守れてないこと気付いてるけど、見逃してるの知ってた?」
ここまでくると意地悪しているとしか思えない母親。

「違うの!本当に違うの!!今回は本気だから。」

「いやいやいやいや。それはないでしょ。今まで本気じゃなかったの?」

「・・・本気だったけど、今度は本当。信じて!!お願い!!どうしたら信じてくれるの??」

のらりくらりとイヤミを突き付けて返事をかわしていた私もいい加減疲れてきました。

急に真顔になって言いました。
「あのね、信じて裏切られて、それでも信じて裏切られてきた人の気持ちって考えたことある?どんなに悲しい気持ちになるか。それでもやっぱり信じて今までこっちが色々折れてきたよね。」

「わかってる。自分が悪いの、全部わかってる。毎日毎日本当はわかってて、でもちゃんとできないことも自分では悩んでる。でも、努力するから、これからを見てほしい。本気だから。」

「もうやめて。時間の無駄。ないから。学校休んでライブとか、うちは絶対にないから。」

イチコが学校を休みたい理由・・・
ライブの前に配布される握手券だかサイン券だかをゲットしたいと・・・・それには昼前には並ばないといけないと・・・

イチコも私が許さないだろうことはわかっていて、今回は相当な覚悟できたようです。

「あのねぇ、普段から色々なこと、ちゃんと頑張ってる人だったら、じゃあ一日位いいよ!って言ったかもしれない。でも、自分振り返ってみてどう?ありえないって言われるのわかるよね?」

「ちゃんとできてないの、わかってる。だから、これからを見てほしい。」

「人ってね、まず行動で見せてからじゃないと信頼って取り戻せないものなんだよ。口先だけの約束なら誰でもできる。もうしないから、もうちゃんとするから、って口で言って世の中通用すると思う?犯罪とか悪いことした人がもうしませんからって口で言っても誰も信じないよね?それと同じ。」

「そもそも、あなたはまだ大人でもないし、大学生でもない。義務教育ではなくても学校に通っている以上通学する義務はあるわけ。そんな理由で学校休むのはあなたの場合許されないのわかるよね。」

「明日だけ!!明日は本当に特別なの。それだけが楽しみだったの!!他の友達も休むって言ってる!!」

「何言ってるの?特別でもなんでもない。明日は普通の学校に行く日だから。夜はライブ行ってもいいけど、学校休んでいくのは絶対にダメ。他の子がどうだろうと、流されるんじゃない。よそはどうでもうちはダメって話。」

「今日だって、部屋の片づけ全部して、夕飯の後に二時間はしっかり勉強する!明日休む分はしっかり取り戻すし、ライブから帰ってからも勉強する。」

「あのさぁ・・・現実的に無理なこと言うのやめてくれない?何時に帰ってくるのか考えてる?帰ってから勉強とか100%ムリだと思うんだけど。寝ない気?」
「あー・・・。でもじゃあ今日と、明後日からは毎日ちゃんとする!!一生のお願い!!!」

こんな攻防が繰り広げられました。

まず仕事中に電話やライン攻勢にあい、仕事の邪魔だからやめてくれと言ったら、仕事から帰った私を家中追いかけまわして「一生のお願い」を繰り返しています。

「しつこい!!!」と拒絶しても、無視してもずーっと。

諦めの悪い子だとは知っていましたが、ここまでとは思いませんでした。
ほんっとうにほんっとうにしつこかったです。

つづく

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